戦わずして勝つ

戦う目的と得たいもの

孫子の兵法に記されている、最も優れた戦い方は「戦わずに勝つ」ことでした。勝った方はその時はいいかもしれませんが、繰り返す戦で自軍の兵士の数が減ったり兵糧が底をついたり土地が荒れるなど、必ず損失を負います。かたや負けた方は、悔しい思いを抱えて復讐の機会を狙うでしょう。いずれにせよ長い目で見ると、戦いには双方の犠牲と負の連鎖が付き物です。それを避けるためには、効率的な戦略を立てるための有益な情報が必要、そのため日本では情報収集のプロフェッショナルである、「忍者」という存在が生まれました。

忍者的に言えば、戦いを省略することが「戦略」なので、勝ちに固執せず「負けない」工夫をすると考えれば気持ちに余裕が出るかもしれません。また、同じ土俵に上がらないことは気力体力温存のひとつの選択肢です。他にも発想の転換で、今この瞬間自分にできることにひたすら打ち込んだり(=自分の実力を上げる)、相手とタイミングをずらしたり(=間を外す)、敢えて人が選ばない選択をしてみる(=勝ちの概念を変える)など、正面衝突とは違うアプローチをしてみることも戦略になります。そうやって視点を変えることで、思わぬ発見から懐が広がり、最終的に得をするのは自分かもしれません。

どうしても避けられない勝負なら、徹底的に相手のことを調べた上で「戦う目的と「勝利の先で得たいもの」をよくよく考えましょう。単純勝ちが欲しいのか、結果を出して人から認められたいのか、手に入れたいものがあるならそれは何か、それとも誰かを喜ばせたいのか。そこまで目的が明確なら、行動がより具体的になり、その時やれることに集中できるでしょう

 

 

さて忍者は「生き残る」ことが至上命題だったので、実は戦いになりそうだったらスタコラサッサと逃げました!忍術の多くは逃げるための時間稼ぎが目的だったという捉え方もできるほどです。武力を使わない時は智恵を働かせます。そしてそれは結局、自分だけでなく相手を生かすことにもつながるのです。