GRITと忍者

やり抜く力

「GRITグリット」という言葉の解釈に初めて触れた時、私はまず「忍者っぽい!!」と感じました。

この「GRIT:グリット」は「やり抜く力」と定義された新しい言葉で、各分野で成果を上げた成功者に共通する能力として注目されています。

以下が、「GRIT」の言葉の元になっている単語です。

G :  Guts:困難なことに立ち向かう闘志

R :  Resilience:失敗しても諦めずに続ける粘り強さ

I :  Initiative:自ら目標を見つけて取り組む自発性

T :  Tenacity:最後までやり遂げる執念

 

このグリットという言葉を提唱したのは、ニューヨークの公立中学で数学教師をしていたアンジェラ氏です。彼女は、成績が優秀な学生に共通した特徴は、IQの高さや恵まれた生活環境ではないという意外なことに気づきました。そこから大学に戻り研究を続けた結果、『成功する人に共通する特徴は「情熱」と「粘り強さ」である』と結論付けたのです。

ではそのグリットと忍者の一致点とは!?

忍者については、よく以下のように言われます。

侍のように与えられた階級でなく、元々の身体能力が高くなくても、自ら鍛錬を重ねることができれば誰でも忍者になれる可能性はある。

加えて、私がGRIT=忍者っぽい!と感じたエピソードがいくつもあります。

 ■ 屋敷の塀に塩水をかけ、何年もかけて劣化させ壊れやすい状態にする。(粘り強さ)

■ 侵入が難しそうな家だと、離れた場所から地面を掘り進め、何年もかけて侵入経路を作ることもある。(粘り強さ)

■ 現地の情報を得るために移住し、何年(時には何世代)もかけて周辺情報を集める。(執念)

■ 「生きて」帰ることが最優先のため、危険な状態と判断したら任務途中でも撤退する。後日対策を立て直し、何度でもアプローチして情報を得る。(自発性と粘り強さ)

■ 夜間や人目を忍んでの方法だと得られる情報に限りや偏りが出るため、変装して日中に多くの人から話を聞き出すことも日常的にあった。(自発性とガッツ)

■ 屋敷に侵入して捕まった時の口実のため、懐に恋文とかんざしを用意。最悪でも拷問で終わり、忍者と知られることはない。(執念とガッツ)

 

 などなど忍者は目的を達成するまで、手を変え品を変えて異様なまでに粘り強くやり続けたことがわかると思います。まさにグリットじゃないですか!

忍者のその粘り強さの原動力に、権威や名誉への欲はありません。

ただ目的を達成するという責任感と、目的達成に必要な技への修行に耐える自分との闘いだったのではないかと思います。そしてその目的達成の先には、自分の家族や故郷を守りたい、というささやかで当たり前の、強い思いがあったのです。